【注目スタートアップ】Apeel 生鮮食品を長持ちさせるコーティング剤を開発
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(画像参照:https://www.apeel.com/how-apeel-works)
生鮮食品を長持ちさせるコーティング剤を開発する【Apeel】に関して紹介します
【企業概要】
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企業名 | Apeel |
創業者 | James Rogers |
地域 | Goleta, California, United States |
設立年 | 2012/01/01 |
累計資金調達額 | $719.06M(2023年12月時点) |
直近ステージ | Seed Round |
主な投資家 | SLR Capital Partners/Andreessen Horowitz/Disruptive Technologies/GIC |
URL | http://apeel.com |
【ビジネスモデル】
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(画像:ZUVAにて作成)
背景 | 地球上のすべての植物には、植物を保護する脂質を含む皮があるが、酸化での腐敗による食品廃棄が起こっており、 食品廃棄物は年間で360万tのCO2換算の温室効果ガスの排出の原因となっている。 |
ビジネスモデル | Apeelは脂肪酸の一種で生鮮食品をコーティングすることで、生鮮食品を長持ちさせるコーティング剤「Edipeel」と「Organipeel(有機農産物専用)」を開発。BtoBで、農家や生鮮食品小売企業に対し、コーティング剤、コーティング剤の塗布装置、品質管理ツールを提供する。 また、塗布を管理・サポートするエンジニアを派遣するオンサイトサービスも併せて提供している。 コーティングが水分を食品内部に閉じ込めることで、食品の熟成を進めるガス(酸素やエチレン)からアボカドを守る役割を果たし、 顧客は食品の消費期限をコントロールすることができるようになる。 |
特徴 | 第一の特徴として、適用範囲の広さがある。対象となる果物は多岐に渡り、アボガドの他、ライム、オレンジ、グレープルーツ、マンゴーなど様々な食品に適用することができる。 果物だけでなくキュウリなどの野菜にも適用実績があり、今後も適用範囲は広がっていくと思われる。第二の特徴として、コーティング剤の安全性がある。精製モノグリセリドとジグリセリドからなる「E471」と呼ばれる乳化剤を原料にしており、これはアイスクリームなどの添加剤として広く使用され、安全性が高いと考えられる。(一部、同社のコーティング剤が、果物や野菜の皮、種、果肉、茎など、植物由来の残渣を原料としているという記述が見られるがこれは誤りである。) 一方、安全性に懸念を示す声も多数見られる |
顧客 | Harps Food Stores、Kroger、Costcoなどの小売業者や、Limoneiraなどの農業業者が取引先実績として存在する。 なお、KrogerやCostcoはコストの観点や安全性の観点から現在は取引を中止している。 |
【ZUVA comment】
KrogerやCostcoなど大手企業の取引中止のニュースは、これから実績を重ねたいApeelにとっては大きな痛手となった。これらのニュースは、生鮮食品価格の上昇に伴うコスト削減の動き(未だ安くないコーティング費用の削減)としても捉えられるが、調べを進めると、安全性を疑う世論の動きによるものが大きい可能性が高い。事実、Apeelはホームページで「最近、ソーシャルメディア上で混乱が広がっており、Apeelの安全性を誤って伝えたり、偽ったりする混乱が広がっている。」と記載するなど、世論の動きを明確な課題として認識していることが窺える。同社のコーティング剤の原料であるモノグリセリドとジグリセリドはFDAによって安全性が明記されているが、どうしてこのような世論が形成されたのか。Apeel社は、「Apeel」という他社製の業務用洗剤・消臭剤があり、それを同社の製品と混同した人々が誤った情報を流布したのではないかと指摘している。Apeel社の技術力の高さは実証実験で明らかになっている中、この安全性の問題を払拭できるかが当面の課題と言えそうだ。
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