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注目すべきダイレクトリサイクル スタートアップ5選

こちらの記事では注目すべき【ダイレクトリサイクル】関連のスタートアップ5社を紹介いたします。

ダイレクトリサイクル

リチウム電池の需要が高まっている中、従来のサプライチェーンの需給バランスが崩れて、炭酸リチウムなどの材料が高騰していることが指摘されており、主にバッテリーの正極材料の構成部品を極力金属に戻さず直接電池材料に戻して直接的にリサイクルする「ダイレクトリサイクル」技術に注目が集まっている。ダイレクトリサイクルとは、3つの電池サイクル技術のうちの1つである。

電池リサイクル技術
①湿式製錬
 水溶液を用いて電池材料から金属を抽出および分離
②乾式製錬
 熱を使って電池材料に使用されている金属酸化物を金属または金属化合物に変換
③ダイレクトリサイクル
 正極材を取り出して再利用または再生

(画像参照:https://www.kobelcokaken.co.jp/tech_library/pdf/no58/d.pdf)

ダイレクトリサイクルのプロセスフロー

(画像参照:https://www.kobelcokaken.co.jp/tech_library/pdf/no58/d.pdf)

ダイレクトリサイクルは、エネルギー、試薬、設備の固定コストを抑えながら再利用または再生することができるため理想的であるが、より高い労働コストが必要で、良好な電池リサイクルの条件を満たすための閾値も高くなる。また、電池の設計や正極の組成が複雑で統一されていないことが一般的な電池リサイクルの障害となっており、その点、 乾式製錬ではさまざまな種類の電池を処理できる一方、ダイレクトリサイクルや湿式製錬では、異なる種類の電池を選別した後に電池を安全に解体する必要がある。現在、世界のリチウムイオン電池リサイクル率は5%に過ぎないが、リチウムイオンバッテリーの需要の急増に伴い、バリューチェーン全体の収益は2022年のおよそ$85Bから2030年には$400B超へと5倍に増加すると予測される。

(画像参照:https://www.mckinsey.com/~/media/mckinsey/industries/automotive%20and%20assembly/our%20insights/battery%202030%20resilient%20sustainable%20and%20circular/svg-battery-2030-ex02-v2.svgz?cq=50&cpy=Center)

(参照)
https://www.cas.org/ja/resources/cas-insights/new-advances-recycling-lithium-ion-batteries
https://www.mckinsey.com/industries/automotive-and-assembly/our-insights/battery-2030-resilient-sustainable-and-circular
https://zuva.io/tags-pro/direct-recycling

注目すべきダイレクトリサイクル スタートアップ5選

Princeton NuEnergy 使用済みリチウムイオン電池から正極材料の選別・精製・修復

【企業名】Princeton NuEnergy
【ラウンド】Series A
【設立年】2019年
【業種】#Advanced Materials, #Battery, #CleanTech, #Recycling
【投資家】Honda Motor, Samsung Venture Investment
【主要拠点】Bordentown, New Jersey, United States
【累計資金調達額】$82.1M (2024/6月時点)

(画像参照:https://pnecycle.com/wp-content/uploads/2024/05/tech-intro8.webp)

Princeton NuEnergyは、使用済みリチウムイオン電池から正極材料を選別、精製、修復する画期的な技術を持つ、プリンストン大学のスピンアウト企業である。Princeton NuEnergyが特許取得している「LPAS(低温プラズマ・アシスト・セパラフィオン・プロセス)」は、正極材料の表面を深く精製し、回収前駆体(R-pCAM)に変えることができる。従来のプロセスと比べて、コスト削減、エネルギー効率の向上、優れた環境保護などの大きな利点があり、最適化されたシステム内でリチウムイオンバッテリーを再利用、リサイクル、再生(回復)することによって、持続可能なバッテリーリサイクルの新たな基準を示している。そして、米国エネルギー省(DOE)のSBIRプログラム(新興企業が研究開発を行うことを政府主導で支援するプログラム)を通じ、電池リサイクル関連の複数の研究助成金を獲得している。

(画像参照:https://pnecycle.com/technologies/)

(参照)
https://pnecycle.com/technologies/
https://hedge.guide/news/princeton-nuenergy-202311.html


Ascend Elements アップサイクル正極材料で作る長寿命・高出力な電池セル

【企業名】Ascend Elements
【ラウンド】Series D
【設立年】2015年
【業種】# Advanced Materials, #Battery, #Energy Storage, #Manufacturing, #Sustainability
【投資家】Clearvision Ventures, Hitachi Ventures, US Department of Energy
【主要拠点】Westborough, Massachusetts, United States
【累計資金調達額】$1.71B (2024/2月時点)

(画像参照:https://ascendelements.com/wp-content/uploads/2022/01/batteries.png)

Ascend Elementsは、使用済みリチウムイオンバッテリーの古い正極材料を原子レベルまで分解し、新しい正極材料を作り出すハイドロプロセスリサイクルとダイレクトリサイクルを採用し、再生された貴重な元素を使用して高度なバッテリー材料を製造する企業である。Ascend Elementsが特許取得しているHydro-to-Cathode(直接前駆体合成プロセス)を経たアップサイクル正極材料で作られた電池セルは、新たに採掘・精製された金属で作られた従来型のセルよりもサイクル寿命が50%以上長く、出力容量は88%増加する。すでに、2022年9月には韓国のSKバッテリーアメリカ(SKBA)、2023年2月にはホンダとリサイクル契約を締結している。

(画像参照:https://ascendelements.com/products/)

(参照)
https://ascendelements.com/products/
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/09/4740ff3785ded43c.html


Tozero 持続可能なプロセスでリチウムイオン電池から重要物質を回収

【企業名】Tozero
【ラウンド】Grant
【設立年】2022年
【業種】 #Battery, #Recycling
【投資家】European Innovation Council, Verve Ventures
【主要拠点】Munich, Bayern, Germany
【累計資金調達額】$6.22M (2024/7月時点)

(画像参照:https://static.wixstatic.com/media/3ec86d_8f42c6c8ca414d9982964e65d9620d6d~mv2.jpg/v1/fill/w_889,h_711,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_auto/tozero%20lithium%20delivery%201.jpg)

Tozeroは、あらゆる種類のリチウムイオン電池から、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、グラファイトといった全ての重要物質を回収できるミュンヘンのリサイクルソリューションを提供する企業である。この回収技術を用いることによって、古いバッテリーを回収し、原材料をサプライチェーンに戻すことが可能にしている。実際、2024年4月には、リチウムとグラファイトにおいて欧州委員会のリサイクル目標を上回る80%以上の回収率を達成している。また、欧州に供給している再生リチウムは、従来のリチウム採掘・加工技術と比較して、CO2排出量を最大70%削減することができるものである。

(画像参照:https://www.tozero.solutions/)

(参照)
https://www.tozero.solutions/
https://www.google.com/url?q=https://note.com/docomo_v/n/n7e418ca2a070&sa=D&source=docs&ust=1723005188406973&usg=AOvVaw2thfD5zvBo39EGJeJ6QgZZ


Lithion Recycling リチウムイオン電池をリサイクルする湿式破砕技術

【企業名】Lithion Recycling
【ラウンド】Series A
【設立年】2017年
【業種】 #Manufacturing, #Recycling, #Semiconductor, #Sustainability
【投資家】Fondaction, IMM Investment
【主要拠点】Quebec, Quebec, Canada
【累計資金調達額】$125.3M (2022/9月時点)

(画像参照:https://www.datocms-assets.com/118487/1710544940-lithion-laboratory-analysis-technologie.jpg?ixlib=js-3.8.0&auto=format&monochrome=&w=1800)

Lithion Recyclingは、リチウムイオン電池の寿命末期および生産廃棄物から戦略的材料を回収する効率的で費用効果の高いプロセスを開発した企業である。Lithion Recyclingのプロセスにより、電池成分の最大95%を回収し、電池メーカーが再利用できるように処理することができ、電池のライフサイクルを閉じることが可能である。また、バッテリーに含まれるミネラルを98%以上回収し、湿式冶金処理に適した黒色塊を生成することができる。リチウムイオン電池をリサイクルするための独自の湿式破砕技術は、最小限の環境負荷で最大の価値を生み出す。Lithion Recyclingはパートナーシップを構築しているGeneral Motorsと共同で回収したバッテリー資源等を検証し、リサイクルプロセスと設計に関する研究開発に投資をしている。

(画像参照:https://www.lithiontechnologies.com/en/operations/technologies/#techno-2)

(参照)
https://www.lithiontechnologies.com/en/operations/technologies/#techno-2
https://mric.jogmec.go.jp/news_flash/20220927/170015/


Fortum 機械的リサイクル技術と湿式冶金リサイクル技術を組み合わせてリチウムイオン電池から重要物質を回収

【企業名】Fortum
【ラウンド】Post-IPO Debt
【設立年】1998年
【業種】 #Clean Energy, #Energy, #Energy Management, #Renewable Energy
【投資家】N/A
【主要拠点】Espoo, Southern Finland, Finland
【累計資金調達額】$1.25B (2023/5月時点)

(画像参照:https://www.fortum.com/sites/default/files/styles/grid_large_single_1x_wide/public/image-entity/fortum_battery_recycling.webp?h=7f6c0a26&itok=MGxuY1WE)

Fortumは、機械的リサイクル技術と湿式冶金リサイクル技術を組み合わせることによって、効率的かつCO2排出量を抑えて、リチウム、コバルト、マンガン、ニッケルを回収し、新しいバッテリーの製造に再利用していく企業である。Fortumの機械的リサイクルプロセスと湿式冶金リサイクルプロセスの組み合わせにより、バッテリーの80%をリサイクルすることができる。また、最先端の湿式冶金リサイクル・プロセスにより、バッテリーのblack mass(「黒い塊」と言われる電池を解体して粉砕した物質)から95%の貴重な金属を回収することができる。

(画像参照:https://www.fortum.com/sites/default/files/styles/inline_image_large_1x_wide/public/image-entity/battery_recycling_process_cropped.webp?itok=KJtFxnsV)

(参照)
https://www.fortum.com/services/battery-recycling/lithium-ion-battery-recycling-technology


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