LOADING

Type to search

インタビュー

【日立ソリューションズ】社内起業家プログラム_アメリカでの資金調達


今回は、日立ソリューションズの社内起業家に挑戦できるプログラム「スタートアップ創出制度」の第0期生に選ばれ、シリコンバレーにて1年間事業アイディアをブラッシュアップし、pre-seedの資金調達を完了したSoft Skillsアセスメントツールを提供するPaletter Inc CEO 井上さんに、日立ソリューションズのプログラムや、ピッチでの資金調達、ZUVAが提供する「Data Leap」のサービスをご利用いただいた背景、利用した感想に関してインタビューを実施しました。


【取材にご協力いただいた方】

企業名:Paletter, Inc (Hitachi Solutions発)

設立年:2024

CEO:Masahiko Inoue

事業概要:HRにおけるAIを用いたソフトスキル評価ツール

URL: https://www.paletter.co/


日立ソリューションズ_社内起業家プログラムと参加背景に関して教えてください

井上様:本プログラムは、アメリカに通用するスタートアップの創出にチャレンジする目的で起案されたものになります。これまで日立ソリューションズは、自社商材の販売に加えて、アメリカ発の商材をインポートし国内展開する事業にも取り組んできました。そんな中、日立ソリューションズが大事にしていた「ものづくり精神」が損なわれていくことを危惧して、始められたプログラムです。

このプログラムはセーフティネットがしっかりとしていて、まずは日立ソリューションズアメリカに出向するといった形式で米国に行き、1年間事業案をブラッシュアップした後、最終ピッチにて資金調達できればPre-Seedとしてアメリカでのスタートアップ起業ができるようになっています。もし仮に失敗しても日立ソリューションズに戻れる仕組みにすることで、リスクを少なくしたプログラムとなっています。

そんな中、僕らは当時、サービス開発していたアイディアを題材にアメリカでの仮説検証に臨もうと、社長や外部コンサルタントを含めた選考会でプレゼンを行い、0期生としてシリコンバレーに行くことが決まりました。

事業内容について教えてください

井上様:今回採択され、事業化したPaletterは、採用向けのAIを用いた Soft Skillsアセスメントツールです。候補者にOne-wayビデオインタビューを受けてもらうことで、AIが候補者のSoft Skillsを判定します。

我々のアメリカでの調査では、採用面接でSoft Skillsに起因する不採用ケースは最大80%近くにも上ります。また、ChatGPTをはじめとしたGenerative AIの登場で、誰もが簡単に完璧な履歴書が書けるようになったため、従来型の履歴書に頼った採用スクリーニングは一層困難になっており、採用コストの削減とスピードアップの大きな障壁になっています。

また、Soft Skillsの評価基準というのは、そもそも評価者の経験や感覚に頼る部分が大きく、言語化、標準化することが非常に難しいものです。そしてその基準も各企業でまちまちであり、一般的なツールによる判定結果が必ずしもその企業の求める基準と合致しているわけではありません。従って、現状のアセスメントツールは採用面接における判断材料の一部にはなり得るものの、本質的な採用スクリーニングの時間短縮には繋がっていないと考えます。

Paletterでは、面接中の動画から実際のリクルーターの評価結果をもとに機械学習する技術を用いています。これにより、採用面接における候補者に対する評価基準を、一般的な判断基準ではなく、各企業が重んじる尺度でAIとして実装できます。また、量的な回数・時間短縮に加え、質的な各企業基準に沿ったSoft Skills判定ができるという、量と質、二つの側面での全く新しい採用スクリーニングを実現可能にします。

アメリカに行ってからの状況やプログラム詳細を教えてください

井上様:採択決定後の準備期間は3ヶ月しかなく、業務の引き継ぎ、現地下見、Visa申請、スタートアップに関する基礎座学、その他身辺整理に追われていました。アメリカに渡ったばかりの時は家探しから始めましたが、家は断られるしカードはATMに吸い込まれるし、慣れない料理などで生活を軌道に乗せるまで大変な苦労をしました。

プログラム自体の構成は、初めの3ヶ月間はリーンスタートアップのトレーニング、次の3ヶ月間で本制度を支援するベンチャーキャピタルDNX Ventures のインターンシップ、残りの半年間で顧客ビジネスでしたが、やはり全くうまく行きませんでした。メンターを探し、コンサルマッチングサービスも利用しましたが失敗しました。
結局前に進み始めたのは机上のトレーニングではなく、自分で計画を立て、実際に展示会に足を運んで顧客を捕まえてからでした。自分の足で検証と事実を積み上げていく以外に近道はありませんでした。

資金調達までに大変だったことはなんですか?

井上様:やはり生活の立ち上げ時期が一番大変でした。また、ビジネスモデル観点では仮説検証段階であったこともあり、本当に大変でした。
日本のユースケースでは、会社と従業員との1 on 1によるエンゲージメント強化や、採用後のケアといったどちらかというと質的な価値訴求が多い印象でした。一方で、アメリカ市場ではより量的な価値訴求、すなわち採用業務の合理化を想定したパイプラインへの適用がキーになると想定していましたが、実際はコロナ以降、従業員の企業へのカルチャーフィットやソフトスキルの重要性がトレンドになっていました。トレンドを踏まえ、Soft Skills判定を使ってくれる企業を展示会で探していたところ、アメリカの大手ファストフードチェーンのA社に出会いました。


A社の該当の店舗は人気店なのですが、接客で忙しい中でもデスクを回ってお客さまの足りないものを確認したり、お客さまの待ち時間を有意義なものにできるようサービスを提供するマネージャーを配置したりと、ホスピタリティを重要視していました。そうしたことから、今回のSoft Skillsを判定するビジネスがマッチしたのだと思います。

ピッチの準備においてどういった情報が必要であり、その上でZUVAを利用した背景を教えてください。

井上様:最終のピッチに向けて準備をしていた際に、市場規模や競合他社と比較した時の自社の強み等をまとめた方がいいというフィードバックがあり、そういったデータを探していましたが、リソースが足りていませんでした。そんな時、日立ソリューションズアメリカでZUVAのサービスを利用している部署から紹介を受けて、ZUVAを知りました。

投資家の人たちが必ずしもHRのプロではない点を踏まえ、ファイナルピッチでは「どこにどうバリューがあるのか」、「色味の違い」、「競合ができない理由」についてマトリックスや数字を用いて説明することが重要だと言われていたため、ZUVAにざっくりこんなデータが欲しいと相談したところ、米国内の競合他社を含めた500社以上の採用テック企業のリストを出していただきました。その中から競合になり得そうな企業を一緒に絞っていき、最終的にピッチの比較資料に使った4社の深掘り調査をしてもらいました。

ZUVA利用してみて良いと思ったポイントを教えてください

井上様:ZUVAの菊池CEOがご自身でスタートアップの立ち上げ支援やVCで働いたご経験があったので、僕たちの求めている調査のアウトプットをすぐに理解してくれ、中身を提案してくれたことが非常によかったです。また、金額面でも予算に合わせて調査のボリュームを調整していただきました。今回、ZUVAを利用してみて、調査をしたい内容は決まっているけれどどういう方向で進めたら良いか迷っている方、調査する時間的余裕がない方などにおすすめだと思いました。ただ調査依頼をするだけでなく、調査をする目的やモチベーションといった点を擦り合わせたことで、結果の活きる調査をしてもらえたと思います。

※記事内容は取材時の2024年2月、ご所属内容は2024年4月のものです。


ZUVAでは今回のようにHuman in the Loopプロセスにより、お探しのテーマに基づいた質の高いスタートアップのアタックリスト(類似・関連・要注目企業リスト)や調査を行う「ZUVA DATA LEAP」というサービスを提供しております。

スタートアップ調査などの「ZUVA DATA LEAP」に関してのご不明点やご相談ございましたらご気軽に下記「問い合わせ」にてご連絡お待ちしております。

Tags:
Zuva Kenny

▼ZUVAにてマーケティング・プロモーションを担当 ・IT企業に就職し、主にCRMやSEOといったWebマーケティングやプロモーションに従事。 ・スタートアップにおけるマーケティングやプロモーション関係を得意とする。 ・大学時代、医療関係、特に薬を研究しておりスタートアップの中でもヘルスケア関連が得意である。

  • 1