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情報技術 注目サブセクター

注目すべきAI防衛技術 スタートアップ5選

AIの防衛分野における重要性の高まり

2024年11月、Metaはオープンソース型の大規模言語モデル(LLM)「Llama」を、アメリカの政府機関や民間企業が安全保障上の目的で使用することを認め、大きく取り上げられたが、このようなテック企業の動きは、AI技術が防衛分野での役割をますます強化していることを示しているとも言える。日本の防衛省も2022年12月に閣議決定した国家防衛戦略や防衛力整備計画において、無人アセットや指揮統制・情報関連機能、意思決定を支援するAIの活用を発表しており、防衛分野におけるAIの重要性は高まってきている。

AIによる軍事運用の革新

AIは、軍隊の運用や戦争の遂行方法を根本的に変革する技術として注目されている。例えば、AIを活用した情報監視偵察(ISR)システムは、複数の情報源からの膨大なデータをリアルタイムで処理し、軍司令官に実用的な洞察と包括的な状況認識を提供することができる。これにより、動的な戦闘状況において迅速な意思決定と効果的な対応戦略が可能になる。

また、AIがいち早く導入された自律走行車やAI駆動型物流システムは、物資や機器のタイムリーな配送を保証し、遅延を減少させる役割を果たしている。また、軍事資産の状態を監視し、潜在的な障害が発生する前に予測することを可能にするAIアプリケーション等も多く開発されている。

市場の成長予測

AI防衛技術の市場規模は、market.usによって2023年の$2.82Bから2033年には$8.29Bに達すると予想されており、2024年から2033年の予測期間中に年平均成長率(CAGR)11.3%で成長する見込みである。AI技術の進化とともに、防衛分野におけるその重要性は今後も増していくことが予測される。

(画像参照:https://sp-ao.shortpixel.ai/client/to_auto,q_lossy,ret_img,w_1216/https://market.us/wp-content/uploads/2024/04/AI-In-Military-Market.jpg)

(参照)
https://market.us/report/artificial-intelligence-in-military-market/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN053O10V01C24A1000000/
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2024/07/02a_03.pdf

注目すべきAI防衛技術 スタートアップ5選

Anduril Industries 防衛用AI自律システムおよび無人航空機・水中無人機の開発

【企業名】Anduril Industries
【ラウンド】Series F
【設立年】2017年
【業種】#Aerospace, #Artificial Intelligence (AI), #Government, #Military, #National Security
【投資家】8VC, Andreessen Horowitz, Founders Fund
【主要拠点】Costa Mesa, California, United States
【累計資金調達額】$3.67B (2024/8月時点)

(画像参照:https://cdn.sanity.io/images/z5s3oquj/production/759cf3b1631ac09f8787809500212d9914788964-4064×2286.jpg?auto=format&fit=max&w=640&q=90)

Anduril Industriesは、防衛用のAIによる自律システムや無人航空機、水中無人機などの先端技術を開発している企業である。Anduril IndustriesのLattice OSという人工知能駆動のオープンオペレーティングシステムは、自律的な状況認識と指揮統制機能を既存のハードウェア製品と接続できるものである。このシステムを活用した、RoadrunnerというISR*ミッション用の自律型航空システムやGhostという状況認識システム、ALTIUSという双発ターボジェットVTOL**自律型航空機などを提供している。2024年7月末には、日本の海上自衛隊がLatticeを活用した指揮統制における実証を行う契約を締結している。

ISR*:情報・監視・偵察(Intelligence, Surveillance, Reconnaissance)
VTOL**:滑走せずに垂直に離着陸できる航空機(Vertical Take-off and Landing)

(画像参照:https://cdn.sanity.io/images/z5s3oquj/production/cb086dde298ee0705a8a4afad32741324e8997cf-1075×1433.jpg?auto=format&fit=max&w=640&q=90)

(参照)
https://www.primarymarkets.com/trading-company/anduril/
https://www.anduril.com/


AXON Vision 戦闘シナリオにおけるリアルタイムの意思決定サポートシステム

【企業名】AXON Vision
【ラウンド】Seed Round
【設立年】2017年
【業種】#Artificial Intelligence (AI), #Machine Learning, #Software
【投資家】-
【主要拠点】Tel Aviv, Tel Aviv, Israel
【累計資金調達額】$1.5M (2017/6月時点)

(画像参照:https://defence-industry.eu/wp-content/uploads/2024/06/Axon-Vision-unveils-advanced-AI-solutions-for-enhanced-military-operations.jpg)

AXON Visionは、AIと光学センサーを活用して膨大なデータを処理し、戦闘シナリオにおけるリアルタイムの意思決定をサポートするシステムを開発する企業である。AXON Visionのシステムはイスラエルの国防軍に採用されており、現在ガザに配備されている装甲車両にAXON VisionのAI搭載360°状況認識システムが搭載されている。その他、傾斜角状況認識カメラと組み合わせられる無人航空機の複数ターゲットの同時検出・追跡システムや先進的な電気光学・熱カメラを組み込んだ地対空防衛システム等を開発している。これらのシステムは、既存システムと統合して多様な運用目的に沿う柔軟性がある。また、膨大なデータをリアルタイムで処理することによって、戦闘状況により迅速かつ正確な意思決定を可能にするものである。実際、イスラエル軍隊に導入されているシステムは、ガザに配備されている装甲車両に搭載されている。

(画像参照:https://www.axon-vision.com/_files/ugd/fc9c6e_ad34d9aa9b3a47d3b6c8e5107a1123e6.pdf)

(参照)
https://defence-industry.eu/axon-vision-unveils-advanced-ai-solutions-for-enhanced-military-operations/
https://www.israel-tech-pr.com/companies/axon-vision/
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_116117/


Shield AI 軍用および民間航空機向けの自律型AIパイロット

【企業名】Shield AI
【ラウンド】Private Equity Round
【設立年】2015年
【業種】 #Artificial Intelligence (AI), #Autonomous Vehicles, #Drones, #Machine Learning, #National Security
【投資家】Andreessen Horowitz, Bloomberg Beta, Founder Collective, Homebrew
【主要拠点】San Diego, California, United States
【累計資金調達額】$1.07B (2024/10月時点)

(画像参照:https://cdn.builtin.com/cdn-cgi/image/f=auto,fit=cover,w=1200,h=635,q=80/https://builtin.com/sites/www.builtin.com/files/2023-11/DSC05105.jpg)

Shield AIは、軍用および民間航空機向けの自律型AIパイロットを開発している企業である。Shield AIのAIシステムは、GPSや通信が無く、人間のパイロットがいない状況で航空機を自律的に運用できる。また、無人航空機のグループが互いに、敵機の存在や周辺環境を自律的に感知して反応できる。これらの技術は、GPS非依存の運用ができたり、単一のオペレーターで複数の航空機を制御できたり、ドローンの制御にも利用できたりする点が優れている。Shield AIのAIパイロットを搭載したアメリカ軍のドローン部隊は、アフガニスタンでの戦闘において、人間に先行して建物に侵入して待機している兵士に建物内部の地図や写真を送信するソリューションを軍に提供した。

(画像参照:https://shield.ai/)

(参照)
https://www.cbinsights.com/company/shield-ai
https://builtin.com/articles/shield-ais-new-ai-product-unmanned-aircraft-flight
https://anobaka.jp/research/5072/


SCALE AI 米軍専用カスタムLLM開発

【企業名】SCALE AI
【ラウンド】Debt Financing
【設立年】2017年
【業種】 #Artificial Intelligence (AI), #Logistics, #Supply Chain Management
【投資家】Government Of Quebec, Government of Canada
【主要拠点】Montréal, Quebec, Canada
【累計資金調達額】$189.66M  (2023/2月時点)

(画像参照:https://scale.com/data-engine)

SCALE AIは、MetaのLlama 3 に基づいて構築されており、アメリカの国家安全保障ミッションをサポートするためにファインチューニングされたLLM「Defense Llama」を開発する企業である。同社が開発するDefense Llamaは、軍事の専門家や指揮官が直面する緊急な判断を迅速化するために開発され、様々な軍事システムや指揮統制プラットフォームに組み込むことが可能である。また、同モデルは米国国防総省の武力紛争に関するガイドラインやAIに関する倫理原則、国際人道法などに準拠するように設計・トレーニングされている。


(参照)
https://workwonders.jp/media/archives/12169/
https://scale.com/blog/defense-llama


Ghost Robotics 哺乳類の行動を模倣したシステムからなる自律型の地上ドローン

【企業名】Ghost Robotics
【ラウンド】Seed Round
【設立年】2015年
【業種】 #Industrial, #Military, #Mining, #Oil and Gas, #Physical Security, #Public Safety, #Robotics【投資家】Alumni Ventures, BRC Innovation
【主要拠点】Philadelphia, Pennsylvania, United States
【累計資金調達額】$1.45M  (2021/8月時点)

(画像参照:https://cdn.prod.website-files.com/6123e108e77ce92ba966990c/630002cefbe8730db9ead458_Tyndall%20Autonomous%20Security%20Resized.png)

Ghost Roboticsは、様々な都市環境や自然環境で行動する哺乳類を模倣したシステムからなる自律型の地上ドローンを開発している企業である。Ghost Roboticsの地上ドローンは、犬型の四足歩行ロボットで、砂地や岩山などのあらゆる地形で作業を行うことが可能である。そのため、軍事偵察や災害救援などのタスクに利用されている。現在既に、未知の環境において視覚センサーが故障したり転倒したりしても直ちに立ち上がって動き続けることができるが、最終的には、歩く、走る、這う、登るに加えて、泳ぐを可能にするロボットの製造が期待されている。


(参照)
https://www.ghostrobotics.io/vision-60
https://forbesjapan.com/articles/detail/72801


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