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情報技術 注目サブセクター

注目すべき量子センサー スタートアップ5選

こちらの記事では注目すべき【量子センサー】関連のスタートアップ5社を紹介いたします。

量子センサーとは?

量子技術には様々な種類があるが、量子センサーとはそのうちの一つであり、主に量子を活用して何かを測定する技術である。量子ビットは非常に繊細で、外部からのノイズや熱などに影響を受けやすいという特性があるが、その繊細で感度の非常に高い特性を活かしたセンサーが量子センサーである。量子センサーは微弱な信号を検出したり、非常に正確な時間や距離の測定を行うことができる。これまで電磁場や時間、周波数、重力、加速度、角速度等の物理量を測定できる量子センサーが開発されてきているが、多くのアプリケーションによっては従来の計測技術よりもより正確で優れていることがこれまでの研究でも明らかになっている。

量子センサーは下記の図のようなカテゴリーに大きく分けられる。それぞれのカテゴリーごとに応用先が異なるが、医療、環境モニタリング、防衛、ナビゲーション、地質探査など、多くの分野での応用が期待されている。世界ではIBMやGoogle、Microsoft等の大手テック企業が量子センサーの研究開発を推進しており、日本ではQunaSysのようなスタートアップ企業も分野をリードしている。量子センサーは量子技術のなかでは比較的実用化が早いと期待されている研究分野であるが、まだ実際に実用化に成功している分野は多くない。今回の記事で取り上げる企業の中には量子センシング技術の課題とされている技術の大衆化や小型化、エラーの制御に取り組んでいる企業が多い。このような課題が解決されるようになると量子センシング技術の実用化がより促進されるであろう。

(画像参照:https://www.jst.go.jp/crds/index.html)
(参照)https://www.mordorintelligence.com/ja/industry-reports/quantum-sensors-market

注目すべき量子センサー スタートアップ5選

  • Q-CTRL  エラー抑制とノイズ低減を実現する量子制御技術
  • Aquark Technologies 冷却原子技術を基盤とするポータブル量子センサー
  • Quantum Diamonds ダイヤモンドNVセンターを活用した高精度計測技術
  • NVision Imaging Technologies 分子イメージング技術で医療診断や創薬分野の応用
  • Qnami ダイヤモンドベースの量子センサーを用いたナノ計測技術

Q-CTRL エラー抑制とノイズ低減を実現する量子制御技術

【企業名】Q-CTRL
【ラウンド】Series B
【設立年】2017年
【業種】#Information Services #Information Technology #Quantum Computing #Software #Software Engineering
【投資家】Salesforce, NTT Finance, Australian Government, Sequoia Capital
【主要拠点】Haymarket, New South Wales, Australia
【累計資金調達額】$131.77M (2024/10月時点)

(画像参照:https://q-ctrl.com/)

Q-CTRLは、量子技術の安定性と性能を向上させるソフトウェアを開発する企業である。同社は、量子コンピュータや量子センサーのエラー抑制とノイズ低減を実現する量子制御技術を提供し、これによりハードウェアの信頼性と精度を大幅に改善している。特に、AIを活用した自動化された量子ビットの校正と最適化により、従来の手動調整に比べて効率的なパフォーマンスの向上を実現している。Q-CTRLのエラー抑制技術はIBMの量子コンピュータプラットフォームであるQiskitにも統合されている。
(参照)https://q-ctrl.com/


Aquark Technologies 冷却原子技術を基盤とするポータブル量子センサー

【企業名】Aquark Technologies
【ラウンド】Seed Round
【設立年】2020年
【業種】#Manufacturing #Product Design #Product Research
【投資家】Export and Investment, NATO Innovation Fund, UK Innovation & Science Seed Fund
【主要拠点】Southampton, Southampton, United Kingdom
【累計資金調達額】$5.56M(2024/9月時点)

(画像参照:https://www.aquarktechnologies.com/)

Aquark Technologiesは、冷却原子技術を基盤とするポータブル量子センサーを開発する企業である。同社が開発する量子センサーは冷却原子技術を基盤としており、より高精度な計測が可能になることからナビゲーションシステムや原子時計などへの応用が期待されている。また、従来の量子センサーと比較してサイズ、重量、消費電力、コストを大幅に削減することで大衆向けの量子センサーを開発することを目指す。同社はNATO Innovation Fundからも出資を受けており、現在イギリス海軍と共同で海上での技術のテストを行っている。
(参照)https://www.aquarktechnologies.com/


Quantum Diamonds ダイヤモンドNVセンターを活用した高精度計測技術


【企業名】Quantum Diamonds
【ラウンド】Seed Round
【設立年】2022年
【業種】#Manufacturing #Semiconductor
【投資家】European Innovation Council, Intel Ignite, Earlybird Venture Capital
【主要拠点】Garching Bei München, Bayern, Germany
【累計資金調達額】$7.67M(2023/11月時点)

(画像参照:https://www.quantumdiamonds.de/

Quantum Diamondsは、ダイヤモンド中の窒素空孔(NV)センターを活用した高感度量子センサーを開発する企業である。同社の技術は、半導体製造、バッテリー研究、医療診断など多岐にわたる分野で、ナノスケールの高精度な磁場測定を可能にする。2024年9月には、半導体チップの故障解析向けに特化した世界初の商用量子デバイス「QD m.0」を発表し、集積回路の欠陥を高精度で検出・特定する能力を提供している。
(参照)https://www.quantumdiamonds.de/


NVision Imaging Technologies 分子イメージング技術で医療診断や創薬分野の応用

【企業名】NVision Imaging Technologies
【ラウンド】Series A
【設立年】2015年
【業種】#Biopharma #Biotechnology #Health Diagnostics #Medical Device #Pharmaceutical
【投資家】b2venture, Entrée Capital, Lauder Partners, Pathena
【主要拠点】Ulm, Baden-Wurttemberg, Germany
【累計資金調達額】$52.15M(2023/6月時点)

(画像参照:https://www.nvision-imaging.com/)

NVision Imaging Technologiesは、ハイパーポラリゼーション技術を活用して、従来のMRI装置を代謝イメージングが可能な強力な診断ツールへと変革する企業である。同社の技術は、パラ水素誘起偏極(PHIP)を基盤としており、室温で迅速かつ効率的なハイパーポラリゼーションを実現する。これにより、従来のMRIでは検出が困難であった代謝物の詳細な観察が可能となり、がん治療の早期効果判定やその他の医療分野での応用が期待されている。 

(画像参照:https://www.quantumdiamonds.de/technology)
(参照)https://www.nvision-imaging.com/


Qnami ダイヤモンドベースの量子センサーを用いたナノ計測技術

【企業名】Qnami
【ラウンド】Grant
【設立年】2017年
【業種】#Biotechnology #Health Care #Information Technology #Sensor
【投資家】Constructor Capital, European Innovation Council, Verve Ventures
【主要拠点】Muttenz, Basel-Landschaft, Switzerland
【累計資金調達額】$7.3M(2022年/3月時点)

(画像参照:https://qnami.ch/)
スイス・バーゼル大学発のQnamiは原子レベルで磁性材料を分析するため世界初の走査型NV(窒素-空孔)顕微鏡等を開発する企業である。超高純度 ダイヤモンド結晶内の格子欠陥である窒素空孔の量子特性を活用した特許取得済みの顕微鏡はすでに欧州で10以上の研究機関にて導入されており、その中にはノーベル賞受賞者アルベール・フェールのCNRS -Thales研究所も含まれる。また、同社の技術はスピントロニクス(固体中の電子が持つ電荷とスピンの両方を工学的に利用、応用する分野)や磁性の研究など、ナノテクノロジー分野で幅広く応用ができると期待されている。2024年にはQuantam Design社と共同で日本と韓国市場にも進出している。
(参照)https://qnami.ch/


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